上野村には、昔の面影を残す建造物や石碑が数多くみられます。この記事では、群馬県の最西南端に暮らしを築いた上野村の人々の郷土文化や歴史に触れながら、ゆったりとしたペースで過ごす1日のコースをご紹介します。
- 旧黒澤家住宅
- 森の体験館で自分だけの味噌を作ろう
- しおじの湯で昼食+温泉
- 白井地区と歴史集落
- 上野村でお土産を買うなら?
旧黒澤家住宅
最初に立ち寄ったのは、旧黒澤家住宅。昭和45年に国指定重要文化財に指定されています。
徳川氏が江戸に幕府を置いた時に、上野村を含む周辺地域は幕府の直轄地 (ちょっかつち) となりました。上野村を含む周辺地域は3つに分けられ、そのうちの1つ(上山郷エリア)の大総代(江戸時代の最上位の村役人)を務めた旧家が黒澤家です。
旧黒澤家住宅は、19世紀中頃の建築と考えられ、屋根に石を敷き詰めてある切妻造りの建物。当時の旧家の面影をよくあらわしており、荘厳さがありながらも、手入れが行き届き落ち着いた空間で、江戸時代の暮らしの様子を感じることができます。
群馬では古くから、養蚕・生糸や絹製品の輸出を世界中で行ってきました。ここ旧黒澤家住宅ではその歴史の一部を今でも感じ取ることができます。
旧黒澤家住宅
住所 | 群馬県多野郡上野村楢原200-9 |
TEL | 上野村教育委員会0274-59-2657 |
営業時間 | 9:00〜16:00 水曜日定休 |
入場料 | 大人300円 小・中学生100円 |
手作りみそ体験
上野村の十石みそをご存知ですか?上野村産の大豆と麦麹を使用したしっかりとした味わいで、コクの深いみそです。この地域はお米がとれない地域のため、昔から麦麹みそを仕込んでいました。村内外の人々に美味しいと評判で、県外からも買いに来るほどの人気です。
森の体験館では、そんな十石みそと同じ原材料を使用した、手作りみそ教室を実施しています。3kgと10kgから選べて、毎年作りに来る人も多いのだとか。
みそ作り教室は毎年2月~3月の週末に開催され、候補日の中から選択可能です。実施日の詳細とご予約は森の体験館にお電話でお問い合わせください。ご予約時には3kgと10kgどちらかと参加人数をおしらせください。もちろん1名でも参加できますが、10kgの場合は量が多いので、2-3名で行うことをお勧めします。
材料は用意してありますので、エプロン・三角巾・厚手のゴム手袋を持っていくと良いでしょう。
早速作っていきます!私たちは3kgのみそ作りに挑戦。
すでに茹で上がった大豆を、2kg計るところから始まります。
取り分けた大豆を手ですりつぶして…。感触がなんとも気持ちいい〜!
ここでみその要、上野村の麦麹を投入。さらに混ぜ合わせていきます。
しっかりと混ぜられたら、ペースト状になった材料をこぶし大に丸めていきます。
それを丁寧にバケツに入れ、空気を抜くように敷き詰めていきます。
敷き詰め終わったら、重石をのせて、完成! バケツを家に持ち帰ったら、直射日光を避け、換気の良い場所で保管してください。約半年で食べられるようになります。 出来上がったみそは、ビニール袋に分けて冷蔵庫に保管します。
上野村森の体験館(川の駅上野エリア内)
住所 | 群馬県多野郡上野村大字楢原310-1 |
TEL | 0274-20-7070 |
営業時間 | 9:00~16:30 木曜日定休 |
予約の電話は9:00~17:00まで受付しています。 |
森の体験館のイベント情報など:http://www.uenomura.jp/tourism/play/morinotaikenkan/index.html
しおじの湯
みそ作りを終え、そろそろお腹がすいてきたので、「しおじの湯」で昼食をとることに。しおじの湯は地元の人にも利用されている温泉施設です。
お食事処には、上野村産の食材を使用したカレー、うどん、そば、定食などがあります。 多くの料理に上野村名物のイノブタ肉を使用しています。 どのメニューもボリュームがあってとっても美味。
人気の上野ダムカレー
いのぶたチャーシュー麺
食事スペースは広々としていて、ゆったりとくつろげます。座敷席と川沿いのテーブル席が用意されています。
温泉は開放感あふれる露天風呂付きで、一度に約10人が利用することのできるシャワースペースと大きな内風呂がありました。上野村の緑に囲まれ、心からリラックスできます。
露天風呂
しおじの湯には、美人の湯と言われるメタケイ酸が豊富に含まれています。また飲泉することもでき、豊富なメタケイ酸を含み飲泉できるのは、県内でも珍しいです。
石鹸とシャンプーは用意されていますが、コンディショナーはありませんので、必要に応じてご持参ください。
適応症:病後回復期・疲労回復・健康増進
大浴場(内湯)
浜平温泉 しおじの湯
住所 | 群馬県多野郡上野村大字楢原3487-2 |
営業時間 | 11:00〜20:00(受付終了 19:30) 定休日:火曜日、祝祭日の場合は翌日休み 冬期不定休 ※新型コロナウイルス感染症の影響で営業時間等変更する可能性があります。お越しの際はお問い合わせください。 |
入浴料 | 3歳以上12歳未満 400円 12歳以上70歳未満 600円 70歳以上 500円 |
URL | https://www.shiojinoyu.com/ |
白井地区と歴史集落
次の目的地は小高い丘の上にある小さな集落「白井地区」です。このエリアにある白井休憩所へお邪魔すると、そこには立派な囲炉裏と、地元の方が手作りで用意してくれたおやつが。囲炉裏を囲むように座ると、じわりと包み込むような優しい暖かさで、とっても居心地の良い空間でした。沸かしたお湯でお茶を淹れ、郷土のおやつに舌鼓。心から安らげるその空間に、思わずうとうとしてしまいそう…。
お茶の用意を希望される場合は、事前にお電話が必要です。(お問い合わせ先は下記参照)
休息し体力も回復したので、周辺散策へと出かけました。白井地区には伝説が残されており、お話によると「隠れキリシタン」が住んでいて、その形跡がいたるところに残されているそう。隠れキリシタンMAPが休憩所の横にある案内板に設置してあるので、ご自由にお持ちください。
17世紀初頭の江戸時代の初めに、日本ではキリスト教が禁止され、国内にいた少数のキリスト教徒は隠れることを余儀なくされました。 彼らは秘密裏に自分たちの宗教を信仰するすべを考え、編み出していったのです。彼らが残した形跡をいくつか見ることができました。
一見普通の墓石に見えますが、十字形の6つの穴がかたどられています。 これは、隠れキリシタンが国の弾圧から逃れながらも、信仰を貫いた証の一つです。
白井宿
住所 | 群馬県多野郡上野村大字楢原1655 |
営業時間 | 不定期 |
お問い合わせ | 上野村産業情報センター 0274-20-7070 までお電話ください |
上野村でお土産を買うなら?
上野村でお土産を買うなら、ふれあい館がおすすめ。上野村名産の十石みそや、イノブタのカレーなど、パッケージで販売されており、お土産に最適です。また地元の方の手作り工芸品やバッグ・小物類の販売も行っています。また、ふれあい館は漁業組合が運営しており、魚券を購入すれば、裏手にある川(冬季釣り場)で魚釣りも楽しめますよ。
ふれあい館
住所 | 群馬県多野郡上野村楢原316-1 |
TEL | 0274-59-3223 |
営業時間 | 3月~10月 8:30~17:30 11月 8:30~17:00 12月~2月 9:00~17:00 火曜定休 |
ふれあい館に隣接する「クラフトマンショップこかげ」では、上野村の職人たちが丹精込めて作った木工品をたくさん販売しています。竹細工や漆器、大型の家具など種類は様々。森からインスピレーションを受けた上野村の作家たちは、それぞれの個性をもって作品を作り上げていきます。手仕事ですから一つとして同じ作品はありません。ここは一見の価値あり。一期一会の作品を通じて、上野村の手仕事を五感で感じてみてください。
クラフトマンショップこかげ
住所 | 群馬県多野郡上野村楢原316-1 |
TEL | 0274-59-2330 |
営業時間 | 3月~10月 8:30~17:30 11月 8:30~17:00 12月~2月 9:00~17:00 火曜定休 |
URL | http://user.uenomura.ne.jp/ueno2330/index.html |
さて、今回は文化をキーワードに、別の視点から上野村を堪能するコースをご紹介しました。上野村は昔の人々の知恵を借りながら、今も独自の文化を築き続けています。古き良き文化を学び、食や工芸品、自然を通じて五感を研ぎ澄ませ、感じる。たまにはそんな旅も良いものですね。